ショタ小説 -少年の戸惑い-

少年の恋に戸惑う心を綴ったフィクションです。登場人物は全て仮想の人物であり、実在する人物などとは一切関係していません。

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魔性Ⅰ

「兄さん、どうですか?」
 どうと言われても分からない。頭と体が一致していないとはこのことだ。今自分の身体がどうされているのか、どうしてこんな状況におかれているのか、頭では一向に理解できない。
 今、僕は少年にフェラチオされている。時間は夜。場所はマンションの駐輪所。誰が来てもおかしくない。
 少年は口を精一杯開けて、僕の性器を頬張っている。先端が頬の内側に当たるたびに、感じたことのないような感覚が走る。それに比べて若干ざらざらした舌は、器用に僕の性器を這いまわっている。そして時々、少年が繰り出す吸引力がまた別の感覚をもたらす。、
「うっ……」
 少年は、性器の中でも特に敏感な部分を弄んだ。自分でも恥ずかしくなるような吐息が漏れる。
「気持ちいいですか?」
 少年は一度口から性器を吐き出し、両手で上下に動かした。すでに唾液の膜が張っているので、手ではない他のもので刺激されているような感覚だった。
 僕は脳内に快楽という名の麻薬が広がっているのを感じた。時期にこめかみの冷たい汗は蒸発した。

 魔性、という言葉は誰しもが知っている。だが、その意味を知っている人はどれほどいるだろうか。
 僕は数分前、その意味を体感した。
 初めは少女かと思った。流れるつややかな髪。なめらかな肌。後ろ姿からあふれ出るあどけなさ。細い首筋。すらりとした四肢。僕はその美しさに魅了された。顔を見てみたいと思った。
 そして「彼女」が振りかえり、顔が見えた時、僕はある種の衝撃を受けた。

 ――美しい、少年――

 正直言って、期待を裏切られた気はした。ところが、僕はなぜか納得した。美しい、という言葉が誰よりも彼にふさわしいと思えた。
 気づけば僕は少年に声をかけていた。口が勝手に動いたのだった。
 少年は僕を見て微笑んだ。有害な微笑みだった。
 そして僕はとんでもないことを要求していた。

 ゲイではなかったはずだ。おそらくバイでもない。ましてや屋外で行為に及ぶような趣味もない。
 しかし、その少年の性別や場所には関係なく、彼を自分のものにしたいという激しい感情がいつの間にか存在していた。理性が抑制する間もなく、僕は少年に報酬を約束し、股間を預けた。
「ああ……」
 少年は再び口内に僕の性器を運び、激しく前後に動かした。やがて、腰の奥からえもいえぬ感覚が押し寄せてきた。
 それを感じとってか、少年は唇にさらに力を入れた。
「っ!」
 僕の精子が少年の口の中に飛び散った。思わず少年の頭を強く抑えてしまった。
 少年は精液をすべて飲み干した。口から性器を抜く際に漏れた一部が、少年の唇から顎にかけて筋を引いていた。
「じゃあ、こっちもね」
 少年は口を手でぬぐうと、ハーフパンツとトランクスを下ろした。そして近くの自転車の荷台に手をかけ、腰をこちらに突き出した。
 僕は、あくまで僕の身体は、ためらうことなく再起した性器を彼の体内へ差し込んだ。
「あっ!」
 がたりと自転車が鳴った。少年の高く澄んだ喘ぎ声が僕の耳から脳へ伝わり、そして変換された信号が股間へと流れた。
 僕の本能が、腰をゆっくりと腰を動かせた。入り組んだ粘膜が僕の性器を包む。
 僕と少年の接合部から少年の腰にかけて、すらりとした女性的ともいえるカーブがそそる。顔もそうだが、こちらから見える後頭部さえも整っている。耳や首筋にかかっている髪が、少女にはない、少年らしい美しさを呈していた。いまだかつてこんな美学を見出したことはない。
 僕は腰を動かしながら、シャツの裾から手を入れた。しなやかな背中が隠れている。僕はそのまま手を進め、肩甲骨から肩、そして脇腹に触れた。腰の動きに合わせて揺れるそれらがすべて愛おしかった。
 僕は少年に折り重なり、首筋に鼻を当てた。美しい少年の香りがした。少年のシャツをまくりあげ、乳首をまさぐった。
「やぁ……」
 少年の香りが強くなった。僕はそれに突き動かされ、さらに腰の動きを強めた。
 少年の体内は温かかった。そして、すこぶる気持ちよかった。今まで経験したなによりもセンシャルだった。
「お尻で、イく……」
 僕は無我夢中で腰を振っていた。そして、果てはほどなくしてやってきた。
「ああ……」
 僕は少年の体内に再び射精した。僕の身体の震えと少年の身体の震えが重なり、空気を振動させていた。
 地面には少年の精液が散乱していた。

 十分だろうか。に十分だろうか。あるいは一時間だろうか。
 少年に紙幣を数枚握らせ、少年が立ち去った後、僕はその場に立ちすくんでいた。理性が戻ってきたころには月が南中していた。

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  1. 2010/04/23(金) 23:50:22|
  2. 魔性
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魔性Ⅱ

 ケンタは少年の顔を覗き込んだ。
「おい、風邪ひくぞ」
 返事の代わりに寝息が続く。しばらく起きそうになかった。
「仕方ないなあ」
 ケンタはベッドから掛け布団をはぎ取り、いつの間にかソファで寝込んでしまった少年にかけようとした。
「………」
 改めて横になっている少年の姿を前に、ケンタは布団を手に持ったまま固まってしまった。少年の寝顔になぜかドキドキしてしまった。
 ケンタはその場に布団を置き、もう一度少年の顔を覗き込んだ。いつもは何気なく見ている顔。しかし、寝顔となるとまったく別物のように見えた。
 喉の奥が締め付けられるような気がした。
 ケンタは床に膝立ちになり、少年の顔を観察した。なめらかな前髪が額に掛かっている。ケンタは恐る恐る手を伸ばし、その前髪に触れてみた。見たままのとおり、さらさらした感触だった。
 ケンタの胸は部屋中にこだまするかのように高鳴っていた。前髪を耳のほうにかき寄せ、そのまま指を陶器のような頬に滑らせる。
 ケンタは息を大きく吸い込み、部屋を見回した。もちろん部屋にいるのは二人だけだ。
 今しがた触れた頬に目を戻すと、それがとても愛おしいもののように思えた。
 初めての衝動がケンタを襲う。どうにも制御不能で、まったく扱い方の分からない衝動が。
 ケンタは吸い込まれるように少年の顔に自らの顔を近づけた。少年の寝息を感じる。もはや平常心を失い、変な気分になった。
 そして軽く唇を少年の頬に押し当ててみた。
 ケンタはすぐに顔を離し、少年の様子をうかがった。起きる様子はなかった。
 張り裂けそうな胸を押さえながら、ケンタは自分の行為を顧みた。自宅で同級生が寝込んでいる間ににキスをしてしまった。男の自分が、男の少年の頬に。
 ケンタは自責の念にかられるどころか、ますます興奮した。もう一度かがみこみ、ゆっくりと少年の頬に唇を当てる。今度は長く、少年の肌の感触を味わった。
 顔を離してみると、少年の頬の一部がケンタの唾液で湿っていた。ケンタは舌を出し、その部分を舐めた。唾液はさらに広がる。
 そしてついに、ケンタは少年自信の唇に触れることにした。
 かすかにふるえながら、自らの唇を少年の唇に重ねる。頬よりもさらに柔らかい感覚が伝わる。
 数秒後、ケンタは少年のそばから飛びのいた。息が速くなり、じっとりと汗がにじみ出ていた。少年が起きていたら大変だと思ったが、まだその様子はない。
 ケンタの頭にはもはやためらいはなかった。何かに毒されてしまっていた。
 もう一度少年の傍らに寄り、再度唇を重ねる。今度は舌で少年の唇を撫で、そしてねじ込んだ。
 ケンタの舌が少年の舌と絡み合う。熱い。お互いに熱い。
 ケンタは自らが勃起していることに気付いた。少年との濃厚なキスを続けながら、自らの股間を解放した。そして猛烈な勢いでマスターベーションを始めた。
 少年の唇を吸っては舐め、吸っては舐めた。もはや理性など存在しない。甘い狂気がケンタを突き動かした。ケンタは喘ぎ声に似た息継ぎをし、少年を愛でた。そして手は自らの性器を愛でた。
「んんん!」
 その瞬間、ケンタは空いている手で少年の頭を抱え込んだ。自分と少年の顔をさらに強く結びつける。
 そして間もなく、フローリングに射精した。

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  1. 2010/04/27(火) 23:25:22|
  2. 魔性
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魔性Ⅲ a

「じゃあ、まずドアから入ってくるところを撮るよ」
 とある土曜日の午後。
 その外観は、どう見ても住宅街の中にある単なる一戸建て住宅だった。だが、中身は違った。様々なシチュエーションの部屋を、撮影の背景として貸し出すスタジオだった。
 清水はフリーのプロカメラマンだった。グラビアなど、主に人を被写体とする写真を撮っている。この日、清水はそのスタジオの一室を数時間分予約した。一人のモデルを連れて。

「もう少し顎を引いて。そう」
 清水は数回立て続けにシャッターを押した。独特のシャッター音が鳴り響き、フィルムに光が焼き付けられる。ファインダー越しの美しさを、余すところなく記録してゆく。
「次は鞄を肩にひっかけて」
 清水はモデルに指示を出した。制服を着た少年は、言われた通りに手に持っている鞄を肩にかけた。
 少年はレンズに映る逆さまの自分を見つめた。若干上目遣いをしているような、恥じらいの混ざった表情だった。清水はそのような表情こそが若々しさを引き立てると考えている。
 続いて清水は少年にバルコニーの手すりにもたれさせた。外の風景をアンニュイに眺める横顔を撮る。風になびくやわらかな髪、肌に張り付いては膨らむカッターシャツ、そういったものはたとえ静止画であっても、流動的に収めなければならない。
 さらに清水は、透き通るような頬に焦点を当てる。大人になりきっていない、少年特有の不思議な美しさが秘められている。それを十分にフィルムに収めたい。清水は切にそう願った。
「中に戻ろう」
 清水は少年をベッドに座らせた。まず窓からの逆光を利用してシルエットを演出する。そして順光の位置に立ち、十数のアングルから少年を撮る。
「横になって」
 少年は首を横に向け、ベッドの真横から狙うカメラを見つめる。女性なら、母性本能をこれでもかとくすぐられるほどの表情だった。
 清水はベッドの周りを巡り、シャッターをとめどなく切った。光の当たり方によって、少年の表情や全体の雰囲気は千差万別だった。
「ボタンを上から二つ外して」
 少年の胸部がかすかに露わになった。首筋から胸にかけてのラインが、官能的だった。
「全部外して」
 下着を着ていないカッターシャツの中がさらけ出される。無駄な脂肪がない、それでいて筋肉もそれほどついていない絶妙な魅力をもつ腹部を、清水はじっくりと時間をかけて撮影した。
「少し、眠たそうな顔をして」
 清水は少年に細かい指示を出してゆく。少年の可愛らしさを引き出してゆく。
「じゃあ、オナニーして」
 少し少年の体が強張った。目が一瞬考えるように左右した。だが、少年はそっと自らの手をベルトに伸ばした。
「自然に気持ち良さそうな顔をして。そんなに演技しなくていいから」
 少年の顔に、今までにはなかったものが現れた。恥じらいと恍惚が混ざった、可憐な表情が出始めている。徐々に頬に赤みが差すのが容易に見て取れた。
 清水は決して直接的な画を求めなかった。局部は避け、ただ少年の体のラインと顔に重きを置いた。
「目を閉じて」
 清水は少年の足元から上半身を見上げるような構図をとった。かすかに開いた口から、微量の吐息が漏れるさまを撮る。その麗しい口元は、エロティックでありながら品を呈している。
 清水は少年の枕元に移動し、少年の目線で下半身を見下ろした。胸、そして腹の官能美を収める。また、無心に快楽を追求する横顔や髪がかかった目元なども強調する。枕にすれて少し乱れた後ろ髪も魅惑的だった。
「天井を見上げて。もう少し口を開けて」
 シーツに押し当てられた手や小刻みに揺れる肩まで、性的に訴えかける部分は多くある。清水はそのひとつひとつを丁寧に取り上げた。
「シャツを脱いでしまって」
 少年の上半身全体が現れる。少年に行為を続行させ、次々にフィルムを消費していった。
「イきそう、です……」
「そのまま出しちゃって」
 少年は射精した。腹部に精液が放たれた。少年の指にも付着する。
「右手を顔の横に置いて」
 少年は精液がついた手を顔の右側にだらりと置いた。紅潮した頬と、潤んだ目がそれに並ぶ。
「自分の、舐めれる?」
 少年はおもむろに指の精液を舐めとった。舌を使い、一本ずつきれいにする。
 少年は一度もカメラを見なかった。

 部屋にはガラス張りのシャワールームも用意されている。少年はゆっくりとした動作で体にシャワーを浴びせ、清水は外からその様子を撮影する。
 水が滴り落ちる体の、腰から上の部分だけを収めると、直接的な描写よりもかえって官能の度合いが増す。尻の膨らみをぎりぎりに切り、濡れた髪と細い背中を撮る。
 水滴を帯びたまつ毛や、水を滴らせる顎はさらに少年の「美」を引き立たせる。

「さて、」
 清水はフィルムを交換した。
「今度はベッドに座って」
 少年はタオルをイスにかけ、全裸のままベッドに腰かけた。



続く

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  1. 2010/05/07(金) 23:18:13|
  2. 魔性
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魔性Ⅲ b

「して」
 少年は清水のベルトを外した。そしてジーンズとトランクスを一気にずり下ろす。先ほどからカウパー氏液を滴らせている清水の勃起が現れた。
 清水はその手順を数秒おきに撮影した。
 少年はまず清水の性器を軽く手淫した。肌の擦れる音がかすかにする。そしてその硬さが最高潮に達すると、少年は大きく口を開けた。清水は少年の口元にズームインし、桜色の端正な唇が触れる瞬間をとらえた。
 まだ湿り気を十分に帯びている髪が、清水の腹の前で揺れる。少年は単に顔を前後に動かすだけでなく、性器の側面を舌でなぞったり、筋を丁寧に舐めあげたり、また時折手も使って清水に奉仕した。長いまつ毛や美しい鼻筋は、見下しても十分に高貴であり、口元との対比がより一層エロティックだった。
「こっちを見上げながらしてみて」
 少年は口を動かしながらカメラを上目遣いに見上げた。少年の表情に必死さのようなものがプラスされる。
 清水は一度少年に口を離させた。そして自らベッドに脚を投げ出すように座った。少年は這いつくばるようにして行為を再開させた。先ほどとは違う表情が得られる。
「今度は横から」
 少年はベッドから降り、清水の体に対して直角になった。横顔と性器が同時に得られる。清水は少年の肩も意識的に構図に入れた。
 やがて清水は少年に行為を中止させた。そして少年をベッドに仰向けになるように言った。
 清水は鞄からローションを取り出し、少年の膝を立てさせ、アナルに塗りこんだ。少年の体がのけぞった。
「膝はそのままに」
 清水は少年から少し離れ、その裸体全体を収めた。少年の目に潤いが戻っている。その姿は挑発的でありながら、どこか儚げだった。
 そして清水はカメラを片手に、少年の股に割り込んだ。そして性器をアナルに一気に押し込んだ。
 少年は固く目を閉じた。清水はその表情を逃さなかった。また、拳を握る手にもレンズを向けた。
 ゆっくりと、そして徐々に速くピストン運動を進める。少年の胸は大きく上下していた。清水は犯される少年を細部にわったて記録した。
「腕をあげてみて」
 少年は万歳をする格好になった。呼吸に合わせて揺れる薄い胸板が強調された。
「シーツを握って」
 もだえる顔とシーツをつかむ手が、性的な興奮を表現する。やがて清水は、結合部にフォーカスをあてた。
 清水はこれ以上ないスピードで腰を振った。
「っ!」
 少年は声に鳴らない叫び声をあげる。頬を真っ赤に染めて喘ぐ。
「うっ!」
 やがて少年は再び射精した。清水はその瞬間をコマ送りの動画のように立て続けに撮影した。そして清水も少年の体内に射精した。
 下腹部に精液が飛び散り、アナルからも清水の精液が滴り落ちる。その様子を清水は執拗に撮影した。

 清水はシャワールームから出てきた少年に封筒を渡し、先に帰らせた。そしてカメラのメンテナンスに集中した。
 男性のモデルを自分から撮るのは初めてだった。


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  1. 2010/05/09(日) 23:06:13|
  2. 魔性
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魔性Ⅳ

 事務所の中には、煙草の煙が立ち込めていた。バインダー越しに差し込み夕日がその厚い空気を暖めている。慣れていない者がこの部屋に入ると、たちまち咳き込んでしまうだろう。
 男が一人、革張りの高級そうな椅子に沈み込み、煙草を吹かしてさらに部屋の空気の密度を高めている。男は天井を何となく睨みながら、ゆっくりと唇の間から煙を吐き出していた。
 部屋のドアがノックされた。
「入れ」
 しわがれた声を確認して、数人が最敬礼して部屋に入ってきた。皆は一張羅を着込んでおり、やたらと目つきが鋭かった。
 男は椅子に座りながら、全員を見渡した。そして、その中で一番身長の低い者に目をとめた。
「今日の分を出せ」
 小さくすくみ上がりながら一歩前に出たのは、制服を着た少年だった。少年は恐る恐る男の前のデスクに近づき、数枚の紙幣を置いた。男は眉間に皺を寄せながら紙幣を数えた。少年は、おびえたように男を見つめていた。肩がかすかに震え、うつむきがちに男の次の言葉を待っていた。
「ご苦労」
 男は、受け取った紙幣のうちの一枚を少年に投げてよこした。少年は紙幣をポケットにねじ込み、逃げるように下がった。
「組長、そろそろヤクが切れるころだそうです」
 デスクに一番近い赤ネクタイの男が、組長と呼んだ男に言った。
「そうか。打ってやれ」
 赤ネクタイの男は一礼し、部下に目配せした。
 青いワイシャツの男が、懐から注射器を取り出した。そして少年の右腕をつかみ、乱暴に袖を捲りあげた。少年の表情と筋肉が固まる。
「力抜かねえか」
 男は少年の腕に注射器を突き刺した。
「っ……」
 少年は顔をしかめた。
「あ……」
 液体が注射されてゆくにつれて、頭を垂れていった。そして青いワイシャツの男が注射し切り腕を離すと、少年はその場に倒れこんでしまった。
 少年は浅い呼吸をしながら床に額をこすりつけていた。頬が紅潮し、じわりと汗がにじみ出ていた。さきほどまでのおびえたような様子はなくなり、どこか生ぬるい気配が少年から流れ出ていた。
「はぁ……あ……」
 少年は懸命に立ち上がろうとした。だが、力が入らないようで、床に這いつくばるばかりだった。男たちは少したじろいたようにその光景を見ていた。
「前より強くなっているな」
 組長が煤越しに少年の赤らんだ顔を眺めながら言った。
 少年はやっとのことで四つん這いになった。うつろな目で虚空を見ている。
「っ……」
 赤ネクタイの男が生唾を飲み込んだ。二、三度深呼吸をし、平静を保とうとしている。他の男たちも、妙にそわそわしていた。
「どうした?」
「いえ、組長、なんでもありません」
 赤ネクタイの男は慌てて弁解したが、組長は男を目を細めて見ていた。
「お前のような男にも効果が及んでいるのか……」
 組長は灰皿に煙草を押し付けた。
「お前にも試させてやろう」
「しかし……」
「構わん。いつものねぎらいだと思え」
 男は組長と少年を見比べた。
「ですが、皆が……」
 男は額の汗を袖で拭った。
「おい」
 組長が他の男たちを睨みつけた。他の男たちは、組長、少年、赤ネクタイの男を残して部屋を去った。
 少年は惚けた顔で男を見ていた。
「………」
 男はためらいながら少年の前に立ちはだかった。すると、少年は男のファスナーに手を伸ばし、男のすでにいきり立った勃起を取り出した。
「っ!」
 少年は大口を開け、男の勃起を飲み込んだ。熱をもった口内の粘膜で、男の敏感な器官を包み込む。熱い粘液が男の勃起を取り巻き、神経に強い信号を送る。細かい突起物を無数にもつ舌も、先端や側面を縦横無尽に行き来し、男の背筋をしびれさせた。
 汗を滴らせ、淀んだ目でフェラチオを続ける少年は、その姿自体が官能的だった。
「うぅ!」
 男は通常の数倍もの早さで限界を感じた。男は少年の口から抜き取り、床に少年を押し倒した。そして息を荒げ、勃起から少年の唾液とカウパー氏液を滴らせながら、少年のベルトを乱暴に外した。少年は全く抵抗することなく、男のなすがままとなっていた。
 やがて少年は片足にズボンとパンツを残し、下半身を裸にされた。男は一秒も惜しいかのように、少年の両脚の間に割り込んだ。
「ん……」
 男の勃起は、少年の体内に難なく侵入した。少年は背を反らせて、感覚的衝撃に耐えた。
 男の鼻には、少年の香りが迫っていた。むれたような汗の匂い、少年自身の勃起の先から漏れ出ている微量の精液の匂い、ストロークのたびに揺れる髪の匂い。すべてが麻薬となって男を酔わせた。男は少年にとらわれていたのだ。
「おお……!」
 男は狂ったように腰を振った。目の前に繰り広げられている少年の羞恥。さきほど繰り出された前戯もあいまって、すでに男は体の奥から湧き上がる何かに気づいていた。
「あぁ、や……、やだぁ!」
 少年は悲鳴を上げた。それは男の精神を舞い上がらせる最後の薬となった。
「くあっ!」
 男は少年の体の奥深くをめがけ、大量の精液を打ち放った。同時に、少年の勃起の先端から若い精液がほとばしった。
「ああ……」
 少年は床に爪をたててその瞬間に到達した。そしてそれが過ぎ去ったのち、肺がちぎれんばかりの息を床に吹きかけ、男が離れるのを待った。
 男は床に胡坐をかき、必死で息を整えようとしていた。

 組長は終始二人の行為を見つめていた。
 その顔に、表情はなかった。

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  1. 2010/05/29(土) 20:40:54|
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魔性Ⅴ

 カウンターでドリンクを受け取ると、僕は改めて店内を見回してみた。白熱灯で作り上げられた空間に、聞いたことのない言語で歌われるジャズが流れている。他の客はまばらで、都合のいいように散らばっている。カップから漏れるコーヒーの香りが、少しだけ緊張を和らげてくれた。
 壁に掛けられた抽象的な絵を眺めながら、店内の奥へと進んだ。ちょうどカウンターから死角になっているところに、テーブルが一つと椅子が二脚置かれている。誰かが座っているようだったが、壁に隠れているので、店内のどこからもその顔は見えなかった。僕はゆっくりとその席へと近づいた。
「思ったより早かったわね」
 そこに座っていたのは、気の強そうな女だった。ジーンズに黒い革ジャケット。目立つようで目立たないファッションに、やたらと眼光が強く見える化粧。僕はどうもこの人の黒い巻き毛が苦手だった。
「近所だから……」
 僕は女の向かいの席に座った。女は灰皿に煙草を押し付けて、カップに口をつけた。煤が少し舞い上がり、一目散に大気中に姿を消した。僕は少しだけ羨ましさを感じた。
「いつも通り、後七分で出るわよ」
 女は僕に数枚書類を手渡した。僕はぎこちない手で受け取り、目を通した。なぜか文面が素直に頭に入ってこず、何度も同じ行を読み返した。
「今度はあんたと私、そしてレイタ。前みたいなミスをしたら許さないわよ」
 僕は自分を落ち着かせるためにカフェラテを一口飲んだ。少し冷めていた。
「媚薬……?」
「そう。それも薬事法完全無視のね」
 女は興味なさそうに新たな煙草に火をつけた。
 僕の目は書類の三枚目に至った。そして、ある一文に硬直してしまった。
「どうしたのよ?」
 僕はその一文を何度も見返した。
「実験台がいる?」
「そう。かなり若い男の子。まったく悪趣味だわ」
 女は忌々しげに煙を僕に吹きかけた。僕はそれを払うのも忘れて書類に見入っていた。
[心当たりが、ある」
 女はこれ以上ないほどきつい目で僕を睨んだ。

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  1. 2010/06/13(日) 22:04:35|
  2. 魔性
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魔性Ⅵ

 マンションの一室のドアを解錠し、まさに室内に入ろうとしたときだった。シュウイチの視界の隅に、人影が映った。
「あ、おかえり」
 声をかけられた少年は、曖昧に笑って返した。
「あれ、顔色悪くないか?」
「そう?」
 シュウイチは少年の目の下にできた隈に目をやった。疲れているのかと気遣った。そしてそのまま目線は下に移り、ほっそりとした美しい顎のラインを眺めた。さらに視線は降下し、少し開けた胸元に見入る。シュウイチは胸の鼓動がじんじんと骨に響き、こめかみを揺らしているのに気付いた。
「……?」
 少年はどうしたの、と目で問いかけた。シュウイチはその目をまともにとらえてしまった。見えない鋭利な矢が、シュウイチの背中を射止めた。
 シュウイチは、一瞬のうちに気遣いを忘れた。
「今日も、お願いしていいかな?」
 少年は少したじろいた。だが不運にも、何かに心を盗まれたシュウイチには気づかれなかった。
「……うん」

 シュウイチはごく一般の高校生だった。週刊の少年マンガは欠かさず購入し、お気に入りのアーティストがアルバムを出せば、必ず求めた。週末には友達と連れ立ち、ゲームセンターに入り浸りだった。
 少年と出会うまでは。
 端的に言うならば、それは恋だった。シュウイチは少年のすべてを知りたいと思った。まるで魔法にかかったかのように、脳内は少年のことで埋め尽くされた。磁石で引き寄せられるように、少年に執着した。
 やがてシュウイチは、自身がその魅力的な肉体に恋焦がれていることに気付いた。着衣していても美しい身体の、その裸体を見たい、そして交わりたいと強く願った。
 シュウイチはゲイを自覚しているわけではなかった。だが、少年に対しては性的な感情以外を持つことはできなかった。
 原形を失ったシュウイチの理性は、ついには正攻法をも見失った。
 それからシュウイチは、マンガも、CDも、ゲームセンターも、いとも簡単にあきらめた。

 シュウイチは少年を部屋に招き入れた。誰もいないリビングのソファにかけさせ、適当な飲み物を差し出す。
 シュウイチは少年の向かい側に座り、少年が清涼飲料を飲み下すのを眺めていた。無防備な喉が、シュウイチの目の前に引き伸ばされてさらされる。シュウイチはまるで夢遊病患者のように視線を送っていた。
 少年は飲み終わると、居心地悪そうに缶をテーブルに置き、視線をそらした。憂いを帯びた、遠慮がちな横顔に、シュウイチは吸い込まれるような感を覚えた。
 気がつくと、シュウイチは少年の足元まで這い出していた。力が抜けたように、少年の膝に手を置いた。
「我慢できない……」
 シュウイチは少年の身体にまとわりつくような状態になった。そして、自らの顔を少年の顔に付き合わせた。依然そむけがちな少年の顔を手ではさみこみ、正面を向かせた。シュウイチには、少年の目に映る色を読み取ることができなかった。
「ん……」
 シュウイチは少年の口を自らの唇で覆った。ねっとりと舌を少年の口内に侵攻させる。互いの鼻息がぶつかりあい、互いの熱が宙を舞った。シュウイチは少年の下を執拗に追った。
 口を離すと、少年は頬を赤らめてうつむいた。シュウイチはその目の前でジッパーを下ろした。
「お願い……」
 すでに本来の姿を極めたシュウイチの性器を、少年は遠慮がちに見上げた。やがて諦めたように、少年は口を開けそれを包み込んだ。
 シュウイチは身体の奥行きが広がるような気持ちになった。粘膜と粘膜が粘液を媒介として触れあう。シュウイチは天を仰いだ。
「気持ちいいよ……」
 少年は様々な技を繰り出した。シュウイチの敏感な器官は、可憐な舌にあらゆる方向から愛撫され、さらに吸いつきや唇の締め付けなどで的確に刺激された。シュウイチは限界を感じた。
「そろそろ……」
 シュウイチは少年の額を持って一度離れさせた。そして少年を立たせ、急くように少年のベルトをはずしにかかった。少年はシュウイチのその様子をぼんやりとした目で眺めていた。
 やがて少年は下半身に何も着ない状態になった。シュウイチはソファに座り、少年を背中から抱きしめる形で引き寄せた。
「入るよ……」
 シュウイチはカッターシャツ越しにうっすらと見える少年の背中を見つめながら言った。
 アナルにシュウイチの性器をあてがったまま、少年は態勢を沈めた。ゆっくりと、押し分けるように、シュウイチが少年の体内に侵入した。シュウイチは少年のひざ裏に腕を差し入れ。少年の身体を支えた。
「は……」
 シュウイチは少年の耳、頬を後頭部側から見つめた。髪がかかったそれは、真正面から見るよりも訴えかけるものがあった。
「動かす、よ」
 シュウイチは少年の身体を持ち上げ、腰を上下に振った。擦れるたびに、シュウイチは身体の奥から突き上げてくる何かを感じた。さらさらと揺れる少年の髪が、シュウイチをさらに惑わせ、見なくても分かる少年の快楽にもだえる顔が理性を押しやった。
「自分で、動いてみて」
 少年はソファに脚をついて支点とし、自ら動いた。シュウイチは手を少年の両乳首に伸ばした。
「あ……ん……」
 カッターシャツの上から胸をまさぐられ、少年は少し身をよじらせた。
「気持ちいい?」
 シュウイチは少年に問いかけた。
「きもち、いい……」
 少年は消え入るような声で言った。
「イきそう……」
 シュウイチは視界が狭くなっていくのを感じた。少年の息が速くなっているのを、背中越しから知った。
「くっ!」
 シュウイチはこらえきれずに、少年の体内に射精した。間もなく、足に熱い液体がかかるのを感じた。少年もそのまま果ててしまったのだった。
「は、は……」
 二人はソファに横倒しになり、折り重なったまましばらく動けなかった。

 シュウイチは、放心したようにいまだソファに横になっている少年に、五千円札を握らせた。
 すでに息は正常になったようで、少年は身動き一つせず床を見ていた。表情はなかった。
「………」
 シュウイチは着替えるために部屋を出た。無感情な少年のまなざしが以前より鋭くなっていることに気づくことはなかった。

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  1. 2010/06/18(金) 22:15:12|
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魔性Ⅶ

「手はずは整ったか?」
 組長は若い男を睨みつけるように言った。
「はい。予定通りに来るそうです」
 男は物おじせずに答えた。
 相変わらず、事務所には重い煙がたちお目ていた。部屋には二人しかいない。壁に掛けられた重厚な造りの時計が正午を知らせた。
 組長はなおも男を睨み続けた。もしこの男が一般人なら、すぐさま逃げ出してしまっていただろう。二人の間には、立ち込めている煙にも匹敵する溶岩のような空気が流れた。男は道端の地蔵のように、身動き一つせず石のように静かな目で組長を見返していた。
「邪魔は入らないようにしているだろうな」
 先ほどよりもさらに低い声で組長が行った。
「もちろんです」
 組長はゆっくりと頷いた。
「やつらの鼻は予想以上に鋭い。しくじるなよ」

  *  *  *  *

 僕たちは、紙の海に溺れいていた。そう言っても過言ではなかった。
 その会議室は資料で埋め尽くされていた。僕と女、そしてレイタの三人で手分けして、その膨大な山を切り崩しながら、必要な情報を集めていた。
「やっぱりイライラするわね……」
 防災上女は煙草を辛抱せざるを得なかった。僕はというと、すでに目の奥が重く、身体の芯がどろどろと溶けるような疲れに襲われいていた。何度も強く瞬きをしては、目を細めて天井を見つめた。
「ニコチンとってくるわ」
 しびれを切らした女は、会議室の外へと出て行った。乱暴に閉められたドアが、今にもシャットダウンしそうな頭の中に爆音を届けた。これを機に、僕とレイタも休憩することにした。
「しかし君も運がいいのか悪いのか。まさかあれに引っかかっていたとはね」
 レイタは伸びをしながら、一冊の冊子を机に投げ捨てた。そこには、無愛想にこちらを睨む少年の顔写真が貼ってある。
「本人かどうかはまだ分からないけど……」
 レイタは窓を開けた。生ぬるい風がかさかさと書類をくすぐる。夕暮れ前の街の熱気に揺らめく真っ赤な太陽のかけらが、ちらりと目に入った。
「ろくに女も知らないようなガキにこんなことさせるとはねえ」
 レイタが窓に寄りかかりながら言った。やけに棒読みするような言い方だった。
「僕は、いやだ」
 レイタが片眉を上げ、こちらに振り向いた。
「僕だったらそんな人生……、逃げ出したい」
 眠気が姿を現し始めていた。僕は床に座り込み、壁に背中を預けた。
「この子が可哀そうだ……。まだ若いのに。なんとか……」
「分かっていると思うけど、」
 いつの間にか女が部屋に戻ってきていた。
「私たちは人助けしようとしているんじゃないわよ」
 巻き毛が女の顔の半分を覆っていた。化粧が若干崩れいているのが僕にもわかった。僕は女の冷たい目線を避けた。
「その子が本人かどうか、確かめに行くわよ」

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  1. 2010/06/27(日) 22:31:46|
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魔性Ⅷ (再掲 My Life is not Beautiful)

「新しい情報が手に入った」
 部署を出るとき、レイタが僕に紙を一枚手渡した。女は僕がそれを読むよりもはやく、横からひったくった。流れるように文に目を通したのち、女は顔をあげてレイタを睨んだ。レイタはおどけたような表情をした。女はしばらくレイタの右目をつぶすかのように眼光を発したのち、僕に紙を押し付けた。
「背中にタトゥー、か」
 僕はレイタに礼をいい、女と二人だけでワゴン車に乗り込んだ。
 オフィス街の風景を助手席から眺めながら、僕の胸にじわじわと緊張が立ち上ってくるのを感じた。
「本当にいいの?」
 僕は恐る恐る尋ねてみた。仮にも、これから実行しようとしている作戦は不法だった。女は行く先だけを凝視していた。
「他に手っ取り早い方法があるっていうの? ばれなきゃいいのよ」
「でも……、あまり彼を苦しめたくない」
 女は器用にも片手で煙草を取り出し、火をつけた。煙を吐き出しながら鼻で笑った。
「私たちの今回の仕事は人助けじゃないの。余計なこと考えないで」
「彼はきっと、あんなことを望んでいないはずだ。未来ある人生を踏みにじられているなんて……。可哀そうだ。助けてあげたい……」
「あんたのそのお人よしな性格が、いつも足を引っ張ってるってわかってるの?」
 女は僕に氷のような言葉を浴びせかけた。僕は黙るしかなかった。心の中で少年の身の上を考えると、いてもたってもいられないような気分になった。いつの間にか少年を僕自身と重ね合わせているのだった。
 やがて車は見覚えのある風景にのまれていった。

  *  *  *  *

 少年は椅子に腰掛けた僕にまたがっていた。少年は僕よりわずかに背が低いので、向かい合わせの格好では目の高さに彼のほっそりした顎が位置することになる。その口は時折何かを言っているように動いたが、声にはなっていなかった。少し目を上げると、紅潮した頬、通った鼻筋、虚無を見つめる澄んだ目、自ら発した蒸気で湿った髪が耽美を醸す。 僕と少年は、抽象的にも具象的にも「繋がって」いた。互いに全裸体が触れ合い、特に僕の性器は少年の体内を侵している。いや、この場合少年の体が僕の性器を誘い込んでいると言った方が適切かも知れない。 少年は僕の肩に両手を置いて軸とし、体を上下に運動させていた。潤滑液が結合を容易にする傍ら、興奮を掻き立てる音源ともなっていた。
「はっ、はっ」
 運動のリズムに合わせたかすかな息音が、半ば開いた少年の口から漏れる。僕はそっと少年の白い体に触れた。筋肉が発達しきっていない、細い体だった。そのまま腕を回し、軽く少年を抱き締める形になる。背中の小さなタトゥーが、指に触れる。
「兄さん、よくなってきたでしょ……」
 少年は耳もとで自分の体を買った男に囁きかけた。 実際僕の快感の度合いは、確実にはじめより高まっていた。少年の裸体を前にしても興奮を示さなかった僕の性器は、彼の巧みなフェラチオによってあっけなく天を指差した。さらに彼に導かれるまま行為に移ると、甘い感覚が勝手に身体中を我が物顔でのし歩き、僕自身を酔わせた。
「兄さん、いきそうなんでしょ。息が荒くなってきてるよ……」

 僕が服を脱ぐ前に金を渡すと、それまで探るような、鋭い目をした無表情が一変し、良い香りのする毒を秘めた花のような、甘く危険な表情を見せた。 彼の身のこなしはまさに連戦錬磨の技を感じさせる。舐めるような愛撫、包み込むような舌使い、絶妙な腰の動き。僕は無条件で魅了された。

「んっ、んっ」
 少年は僕の射精のタイミングに合わせ上下を徐々に早めた。僕はその少年の幼さが残る、というより幼い顔を見つめた。そして、一瞬その美しい蕾がぼやけ、白みがかかった。
「くっ!」
 僕は少年の体内に、自らの精を放った。少年は尚も搾り取るように、僕の性器を締め上げ続けた。
「っ、流れ込んでくるっ、兄さんの精液……」
 最後の言葉さうめき声に近かった。少年はその刹那、体を硬くした。そして、僕の腹部に熱いものを感じた。

「お前の人生は、美しいのか?」
 少年は服を着る手を止めて、僕を見た。その目には、先ほどの鋭さが戻っていた。
「………」
 少年は黙ったまま僕を観察した。 やがて、小さな声で答えた。
「ぼくの人生は、美しくなんかない」
 わずかなそれを、自ら顧みる言葉は弱々しかった。


「あったの? 例のタトゥー」
 やたらと光を反射する口紅の間から、感情のない声が問い掛けた。僕はうなずいた。ワゴン車の運転席に座った女は、そうと言いながら煙草に火を付けた。
「で、本当に助けるつもりなの?」
 僕は答えないで、助手席から女が灰皿に灰を落とすのを眺めていた。
「あんた、他人の人生を変えられると思ってるの?」
 女は忌々しげに窓から吸殻を捨てた。
「本人が美しくありたいと思うなら、いくらでも」
 僕は副流煙を避けながら言った。女は呆れたように肩をすくめ、車を発進させた。

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  1. 2010/07/04(日) 22:44:03|
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魔性Ⅸ

 その男は、組員に相当額を支払った後、指定されたホテルの部屋に入った。思わずネクタイを少し緩め、奥へと進む。
 すでにダブルベッドでは裸の少年が越しかけて待っていた。男は立ち止まって少年の裸体を眺めた。鳩尾のあたりが締め付けられるような感覚に襲われた。さらに少年の股間が意を示していることに気付くと、冷たく感じていた汗がたちまち熱く感じられ、脳が溶けそうになった。不意に部屋の様子が揺らぎ、視界の中心に位置する少年に吸い込まれそうになった。
 男はその場で上着を脱ぎ棄て、シャツのボタンをはずし、ズボンを蹴り飛ばした。そして膨張し切った性器を携え、少年の前に歩み寄った。
 少年は股間に反し、薄く、暗く、凍るような、よわよわしい目を絨毯に向けていた。絶望と、悲しみと、苦しみと、要するに楽しくない感情を足して百分の一に薄めたような顔は、紅潮していながらも生きている生気を放っていなかった。
 男は少年の髪をつかみ、顔を上げさせ、カウパー氏液で濡れた性器を少年の頬にあてた。部屋の照明が顔に付着した粘液に反射し、きらきらと輝いた。やがて男は、性器を少年の口に押し込んだ。
 薄目のまま、至極当たり前のように、少年は男の性器を受け入れ、舌を絡めた。独特の、熱くぬめった感触が男の性器を包む。適度に唇で締めつけながら前後に運動し、かつ舌で先端を撫でまわす。熟練、というよりは日常動作だった。あまりにも的確にポイントを押さえたフェラチオだった。男は少年の口内から性器を引き出すたびに内蔵が引っ張られるように感じ、また挿入するたびに、じっとりとした快感が股間を中心として身体中を同心円状に広がるように感じた。
 全身に汗が噴き出していた。男は身震いしながら少年の行為を見下ろしている。制御を失った口唇から一筋の唾液が垂れ、少年の柔らかな髪に滴り落ちた。
 亀頭の裏を舐められたとき、男は思わず声を上げた。精液が少しだけ飛び出し、すかさず少年に舐めとられた。
 限界を見た男は性器を少年の口から離し、ベッドにうつ伏せになるよう指示した。男は少年の腰を持ち上げ、閉じられた部分を舌で押し開いた。可憐な少年の壺に舌をねじ込むと、少年の身体がびくんと跳ねた。
 男は少年を後ろから味わいつくした。やがて充分な潤滑を与えると、男は性器を割れ目にあてがった。ぬるぬると性器をこすりつけ、麗しい少年の肌を満喫した。
「ん……」
 そして、男は少年に侵入した。これもまた当然かのように、難なく男の性器は少年のアナルに咥えこまれた。
 男は後背から少年を犯した。尻から背中、首にかけてのカーブは、妖艶と言えた。そしてその真中には、不気味な紋章があった。妖艶の文字があらわすように、妖しいアクセントが加えられていた。
 嵐の雲のように、うごめく腸内で男の性器は次々と変化してゆく快楽を与えられていた。腰を少年の尻に叩きつけ、さらに少年は自ら身体を揺り動かした。
「はぁ、あ!」
 少年はシーツをかきむしった。男は狂ったように腰を振り、少年を貪った。
「くっ!」
 男は射精する寸前で性器を抜き取り、激しく手淫した。間もなく、大量の精液が少年の背中に降り注がれた。背中のタトゥーが白く穢れた。
 激しく息をつく少年の背中に精液をすりこみながら、男は回復を待った。そして充分に膨張したところで、再び少年に挿入した。
「ああ!」
 男は少年を仰向けにし、少年の上体に覆いかぶさるような態勢になり、腰を動かした。
 二度目の射精は少年の体内で行われた。深々と突き刺された性器の先端から、少年の奥底へと精液が注ぎ込まれる。
 男は何度も少年の内外に性器を浴びせかけ、また少年は何度も自らの精液を浴びた。

  *  *  *  *

 少年はドアを開け、荷物を放り出し、床に倒れこんだ。部屋に設置されている化粧台まで這い、身体を持ち上げた。鏡に映った自分の顔を一瞥し、目をそらした。自分を見るに堪えなかった。
 少年は台に突っ伏したまましばらく静止していた。だが、どうしても暴走を止めない身体の一部分を封じ込めることはできなかった。まるでそれは、もはや別の生き物だった。いくら休養の指令を送っても、ことごとく無視した。
 性器を取り出すと、少年は相当な勢いで手淫をし始めた。目を固く閉じ、片手で頭を抱え込みながら、なんとかそれを収めようとした。
「ああ……」
 その声は苦しげだった。おおよそ恍惚とはいえない声だった。
「くっ」
 望まない射精が迫った。少年は床に精液を放った。
「う……」
 少年は床に倒れた。荒い息を肩でつきながら、自分自身を抱きしめた。
「おい」
 ノックもなしに、誰かが部屋に入ってきた。
「来い」

  1. 2010/07/30(金) 22:35:46|
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イズコー

Author:イズコー
バイの某大文学部生です。少年愛の美学、ショタの文学、美少年と少年美、「艶」の定義についてなど日々考察中。

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The Puzzled Boy - 1
The Puzzled Boy - 2
The Puzzled Boy - 3
The Puzzled Boy - 4
The Puzzled Boy - 5
くらすめいと
二人占め
二人の帰り道
後輩とぼく
一夜限り
My Life is Not Beautiful
仮想現実
格調
風の噂
夏の夜の
呼ばい
待っていた夜更け1
待っていた夜更け2
私解・稚子草子(第五段)
魔性
とぶらひ
Not for Something
慰み
草枕
月光
あの日の水泳
兄弟
夏の孤独
マージナルの手
純淫
王家の砦
春の色
浴衣の少年
幻影
邂逅
奇妙な三人
夏の終わり
Jealousy

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