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ショタ小説 -少年の戸惑い-

少年の恋に戸惑う心を綴ったフィクションです。登場人物は全て仮想の人物であり、実在する人物などとは一切関係していません。

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月光


 宵闇がプラットホームに立つ二人を包んでいた。
 人との間の空気は絶えず変化するが、特に昼と夜とでは明確な差がある。それは明るい時よりも濃密で、底が知れない。闇が境をぼかしているのだ。
 藤崎はいつも、隣に立つ高橋という少年との空気が微動していることを感じていた。今は高橋を近くに感じる。いつもより。
 ふと二人の間に沈黙が訪れた。それは重かった。だが、決して気まずい重さではなかった。いうなれば甘い沈黙だった。藤崎はそれに酔いしれた。何も語らずとも、高崎の隣に立てていることに喜びを感じていた。
 藤崎は視線を何気なく落とし、高崎の左手に目をやった。長くてしなやかな指。流れるような節が官能的だった。この手に触れられたいと思った。
「あ」
 高橋が小さく声を上げた。見ると高橋は夜空を見上げていた。藤崎が高橋の視線を追うと、その先には見事な満月が輝いていた。
「月が、綺麗だな」
 何気なく高橋がつぶやいた。藤崎は思わず高橋の横顔を見つめた。まるで憧れるように、月を見上げている。まぶしかった。月よりも。
 藤崎は右手のこぶしを握った。列車が到着する旨のアナウンスが、人気のないプラットホームに響き渡った。

 電灯が等間隔に並ぶ夜道を、二人は並んで歩いた。言葉数は少なかった。
 藤崎の右手の甲が、高橋の左手の甲に触れた。藤崎は顔が熱くなるのを感じた。二人の間の空気はいつも変化しているが、今は温度が高まっている。藤崎は高橋がその熱に気づいてほしくなかった。だが本当は、心の奥底では、気づいていてほしかった。
「なあ」
 藤崎は会話が途切れてしばらく経つと、そっと高橋に声をかけた。
「月、綺麗だよな」
 今度は高橋が藤崎の横顔を見つめた。藤崎はうつむいた。胸が痛かった。すぐ耳元で、自分の心臓が暴れていた。
 高橋はわざわざ藤崎が自分の言葉を繰り返した理由を考えているかもしれない。そして結論に至らないかもしれない。藤崎はそれでもよかった。
 二人の手の甲がまた触れ合った。
「あのさ」
 藤崎は目を逸らしながら言った。
「変なこと聞くけど……」
 高橋は軽くうなずいた。
「手、つないでいい?」
「………」
 藤崎の体はさらに熱くなった。頭がくらくらしはじめた。それでも月は綺麗だった。
「お前とならいいかな」
 藤崎は高橋の左手を見つめた。やはりしなやかな手だった。藤崎は手の甲を軽く押しつけた。そして、握った。温かかった。
「お前いくつだよ」
 高橋は藤崎をからかったが、その頬は少し紅潮していた。藤崎はさらにうつむいた。

「じゃあおやすみ」
 高橋は自分の部屋の扉をあけながら言った。
「………」
 藤崎は肩にかけた鞄を握りしめて、うつむいていた。高橋は肩をすくめた。
「高橋、あの」
 藤崎は高橋の足元ばかりを見つめていた。一人で冷たい空気に包まれるのが嫌だった。高橋との、甘くて濃い空気にいつまでも浸っていたかった。今夜一番密度が上がった空気に。
 ふと、高橋は藤崎の頭に手を置いた。そしてわしゃわしゃと撫でた。
「わかっていないとでも?」
 藤崎は泣きたくなった。なぜだかわからないが、こみ上げてくるものの存在を感じた。空気が甘いわけが分かったからかもしれない。
 藤崎は高橋の両肩に手をかけ、高橋の顔を引き寄せた。そして唇を重ねた。
 目を合わすことができなかった。
 藤崎は逃げるように高橋の部屋の前から去った。

「俺、こういうのよくわかってないけど」
「うん」
「本当に、入れていいんだな?」
「うん」
 藤崎は努めて体の力を抜こうとした。高橋の綺麗な裸体を前にして、心臓がはじけそうだった。
 高橋の性器がアナルに当たった。藤崎は深呼吸した。高橋の腹筋を見つめた。
「いっ……」
 入ってきた。頬を涙が伝った。思わず下半身に力が入ってしまったが、藤崎は慌ててリラックスしようとした。
「藤崎、涙……」
「大丈夫だから」
 高橋は戸惑いを隠しきれていなかった。藤崎は高橋の気遣いがうれしかった。それと同時に、高橋にめちゃくちゃにされたいという願望も持っていた。
 高橋はゆっくりと動いた。突かれるたびに藤崎は震えるように息を吐いた。薄い胸板を汗が走った。
 高橋は藤崎の性器に手を触れた。ゆっくりと愛撫すると、萎えていた性器は勃起を取り戻した。高崎が優しく手で包み、上下にこすると、痛みを少しだけ忘れることができた。
「ああ……」
 藤崎は様々な刺激にもうろうとしていた。ぼんやりとした視界のなかで高崎の手を探し出し、握った。
「高橋……」
 藤崎が高橋の名を呼んだ瞬間、高橋は体を硬直させた。藤崎は体の中で高橋の性器が震えるのを感じた。少しだけ体の中が熱くなった。
 高橋は藤崎を抱きしめた。藤崎も裸の背中に手を回した。石鹸のさわやかな香りがした。

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  1. 2011/05/08(日) 23:18:01|
  2. 短編
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バイの某大文学部生です。少年愛の美学、ショタの文学、美少年と少年美、「艶」の定義についてなど日々考察中。

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