ショタ小説 -少年の戸惑い-

少年の恋に戸惑う心を綴ったフィクションです。登場人物は全て仮想の人物であり、実在する人物などとは一切関係していません。

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幻影

 掲示板でその写真を見たときは、私はあたかも水風船を四方から全身に投げつけられたような気がした。特に胸の辺りで大きいそれが弾け、そして末端へと冷たいものが散り散りに駆けていった。写真には一人の少年が写っている。自己紹介では私と五つほど変わらないとあるから、少なくとも十八歳以上ではあるらしいが、もっと幼いようにも見える。黒い髪は長く、肌は卵のようにすべすべしており(無論機械で編集加工されたものであるのだろうが)、少女のようである。だが、輪郭は少年特有のそれであり、精悍な感がある。私は一目見てこの少年を愛した。狂おしいほどに愛おしいと感じた。自分のものとして愛玩したいと願った。
 人を一目見ただけで、それも写真を見ただけでここまで心を惹かれるのは久しぶりだった。私が最後に愛した人間は、学生時代の級友の女性であった。誰もが振り返る美貌に、私はもれなく心を奪われた。彼女を所有したいと感じた。そして彼女は私を弄んだ。当時愚かであった私は、ものの見事に彼女の手中にはまり、裏切りに気が付いたころには見るも虚しい惨めな容態となっていた。それ以来私は常に女性に対して不審を抱いている。そして私の嗜好は倒錯したのである。
 私はすぐに掲載されているメールアドレスにメールを送信した。返信を待つ間、私は何事にも手がつかなかった。はたして私を気に入ってくれるだろうか。会ってくれるだろうか。それなりの関係を持ってくれるだろうか。熱に目の前がぐらつくのを感じながらも、意味もなくメールフォルダーを開くのだった。そして何度も何度も、すでに保存してある例の写真を眺めた。そのたびにため息が口を突き、思春期の頃のとるにたりない妄想に対して抱いた形のない罪悪感がよみがえり、胸を締め付けた。私はなぜこれほどまでに苦しまなければならないのだろうか。ややもすれば失われた青春の対価を今支払っているのかもしれない。人としてまっとうな輝かしい愛を捨てた罰なのであろうか。歪んでしまった私の性愛が、さらに醜く変形され、重く、そして後ろめたく私を否定しているのである。私には少年を愛することだけが許されており、そしてそれは一生をもってしても手の届かないところにおかれている。望めば望むほど遠ざかる高嶺の花を求め続けるという刑罰を、私はこれから先受け続けなければならない。ふと私はこの絶望的なスパイラルを顧みて、生きる意味を問うことがある。だが、もはや私は少年のために生涯をささげる存在となってしまった。少年は美しいから美しい。ただその美しさを遠くに望むのが生きる意味であるから、すなわちその思考はやむのである。
 返信はそれから二時間後のことだった。内容は私の顔写真を要求するものであった。私は用意していた写真を送信した。コンプレックスのある顔をなるべく良く見せようと試行錯誤したものだ。私は先のことを考え期待に胸を膨らませた。はたしてうまくこの少年と友人になれるだろうか。だが、なかなか返信は送られてこなかった。不安ばかりが募り、メールフォルダーを開く回数がさらに増える。胸をかきむしりたいほどのもどかしさをやり過ごす傍ら、少年に対する愛おしさは増すのであった。

 結局二日待っても返信は送られてこなかった。その間私はわずかな希望をもとに落ち着かない時間を過ごしたが、断念せざるを得なかった。だが、これほどまでに私を狂わせた少年をあきらめきることはできなかった。手を伸ばしてはいけないという自分勝手な戒律を言い訳に手を伸ばす勇気を持てないでいた。しかし、思わずしてそれは肩が触れ合うほどにまで私の近くに舞い降りてきているのだった。
 私はインターネット上を渡り歩き、なるべく私の骨格に近く、それでいて私よりもはるかに美しく見える男の写真を探し出し、私の代わりとすることにした。そして私自身のメールアドレスも変更した。こうして全く別の美男子に成りすまし、どうしようもなく愛おしい少年を愛するがゆえにその少年を欺くことにしたのである。
 案の定、少年からの返信は、再度こちらから送信した直後に送られてきた。多少の罪悪感はあった。少年に近づいたとはいえ、まぎれもなく私は彼をだましたのである。だが、私ははたして真正面から彼にアプローチし、正当な方法で彼を手に入れることができたであろうか。否である。容姿に自信のない私が、これほどまでの美しさを与えられた、誰もが羨むような少年を前に、堂々としていられるはずがない。私には美少年を所有する権利がある。むしろ、誰にでもその権利が与えられているはずである。女性にはない、そして幼児や中年、壮年男性にもない天賦の美しさをみすみすと逃さなければならないのは不条理である。女性の美しさ(それはそれで存在するものだと認めている)は所有可能であるのに、だ。その権利を行使するためには致し方ないことだ。少年から反応があったことに舞い上がり、罪悪感など吹き飛んでしまった。心なしか私は自分が自分以上に認められた気になり、無意味に鏡などを覗き込んだ。人柄までもが美男子になった気分に浸り、私は多少大胆な姿勢で少年とやり取りをした。
 まず私は、少年の人となりを知ろうとした。どのあたりに住んでいるのか、どういう趣味を持っているのかを質問したが、彼の反応はすこぶる良くなかった。返事が一時間に一つなどという頻度である。はじめは別の男とのメール交換に興じているのかと考えた。だが、よくよく考えなおしてみると、彼は私が提供する話題に基本的に興味がないのである。私の胸は大きく高鳴った。もちろん緊張のためである。全身に血がめぐりわたったが、指先はなぜかやけに冷たかった。浅い呼吸を速く繰り返しながら、意を決し次の文字を撃った。
「今度、逢いませんか?」
 メッセージを送信した後、私はある程度の後悔に襲われた。あまりにもぶしつけではないだろうか。これきり彼からの返信がなければどうしようか。不安のあまりに吐き気さえ催した。だが、それも杞憂に終わった。五分も経過しないうちに、彼からの返事を受けた。なんと、彼は逢うことに乗り気のようである。私は歓喜した。あれよあれよという間に日程が決まり、次の週末に逢うことになった。
 私は逢う日まで出来うる限り身なりを整えた。逢ってしまえばこちらのものなのだが、身なりで幻滅されては困る。服を一式そろえ、髪を切り、エステティックにも通った。自分自身も少年のその美しさにふさわしくなくてはならない。そのためには金を惜しまなかった。金を惜しまない。そう、もし少年が求めるとあれば、私は彼に大金を支払うことさえ辞さない。私が美少年を所有できるのであれば、すべてをなげうつ覚悟があった。それほどまで私は少年を愛していた。

 当日、私は車で待ち合わせ場所に向かった。こぎれいで、それでいて派手すぎない身なりであった。はたして少年は気に入ってくれるだろうか。そもそも少年は来てくれるのだろうか。彼自身もそれなりに気を躍らせているはずである。何せ彼はあの美男子がここに来ると思っているのである。
 ここにきて例の罪悪感がちくりと私の胸を刺した。そう、本来私は少年が逢うべき人物ではないのである。少年が期待する男ではないのである。だが、これまでメールを交換していたのはまぎれもなく私であったのだ。このことでなんとか自分自身を正当化した。逢ってしまえばこちらのもの、なのである。
 やがてその場所に少年らしき人物が現れた。夜とはいえその場には結構な人の往来があった。しかし、一目見てわかった。彼は、少年は写真で見るよりもはるかに色が白く、そして幼く見えた。さらりとした髪が少し顔を覆っており、その奥からよく光を映す眼がこちらを落ち着いた様子で眺めていた。かくして私と少年は初めて顔を合わせたのである。彼は私の顔を見ても、一つも怪訝な表情は見せなかった。物腰がやけに大人びている。その幼いまでの美しさに不釣合いだった。
 この後どうするかなどは詳しく決めていなかった。ひとまず彼を車の助手席に乗せ、車を発進させた。とにかくどこかで食事でも、と考えていた。少年は年齢を私と五も変わらないとあらかじめ伝えていた。だが、私が改めて問うてみると、やはり十も半ばの生徒であることが分かった。これほどまでの少年らしい美しさ、艶めかしさは、それほどまで幼くてはならないと妙に納得した。
 少年は私に断りを入れ、助手席の窓を開けた。そして煙草を吸い始めた。彼は気だるそうに光が流れる夜の街に煙を吐き流した。法外な喫煙をとがめる立場にありながらも、なぜか何も言えなかった。
 私と少年は車内で他愛ない会話を繰り広げた。今、私の隣には美少年がいる。いざそんな状況になってみると、かえって実感がわかないものだった。少年はほぼ私の手中にある。だが、少年の動作一つ一つを見るに、その動作主はやはり少年なのである。少年は少年の意志をもってして行動しており、ややもすれば私の意など気にも留めないのではないだろうかという不安すら覚えた。そして何より、少年の美しさを持っているのはやはり少年なのである。はたして少年は私の美しい所有物となりうるのだろうか。私は怖気づいてしまった。
 不意に少年は私にとある交差点を左折するよう指示した。私は言われるままに車を進めた。山へと向かう、比較的細い道である。住宅街の灯りは徐々に背後へと去り、闇ばかりが深まっていった。
「ここで停めて」
 少年が言った場所は、梅林の手前に当たる暗い坂道だった。私は小さな駐車場に車を入れた。
「しよ」
 唐突な言葉に私は衝撃を受けた。頭が真っ白になり、目の前に稲妻が走ったように感じ、間抜けな声を出してしまった。確かに、私は期待していなかったと言えば嘘になる。だが、それはあくまで段階を踏んだ先の話であって、例えばあってすぐ少年を犯すなどということは微塵も考えていなかった。じっくりと少年の内面を吟味しながら、その外面を愛で、そして所有するのが私の算段であった。所有が成立して初めて、私は少年の身体を所有物として味わうことが許されるのである。私はいささか気おくれを感じた。
「後ろ、行こ」
 少年は後部座席を指示した。しかし私は反対することができず、後部座席に二人で並んで腰かけた。私は少年を直接見ることができなかった。少年がどこか理解を越えた別の存在かのように思えた。少年は無言で私の股間に手を伸ばした。私は心の中で声を上げたが、彼の手を払いのけることはしなかった。彼の手は萎えきった私の性器を撫で上げ、そして硬度を高めさせた。彼の手練れた様子には舌を巻いた。ある程度私が興奮を示すと、彼は私のベルトに手をかけ、ジーンズを脱がせた。そしてなおもボクサーパンツの上から性器を弄んだ。私はやっと、自らの息が荒くなっていることに気付いた。車の窓はすべてが内側から結露していた。
 ついに少年は私のボクサーパンツを取り払い、勃起した性器を握った。しばらく片手で扱いた後、少年はその崇高な美しさをたたえた顔を近づけ、幼い唇をもってして私の性器を包み込んだ。一気に温かい粘膜がかぶさり、背筋に震えが走った。唇は性器を根元で締め上げ、そして吸い上げながら吐き出した。濡れた唇で先端を滑らし、そしてなおも唇で締め付けながら飲み込んだ。私は性器が少年の口に吸い込まれるたびに快感に翻弄され、めまいがした。少年は時々鼻にかかった吐息を苦しそうに漏らした。改めて一心にフェラチオをする少年の美しい顔を眺めてみると、私は無上の恍惚に支配され、しばし罪悪感も疑問もすべて忘れ去り、淡い享楽の海におぼれた。

 少年は車から降りると、唾液とともに私の精液を吐き出した。そして煙草を吹かし、夜空を虚ろな目で見上げていた。私はその姿を、後部座席で唾液にまみれた精液もそのままに見ていた。私はこの時放心状態であった。ただただ力なく、何も考えられずに少年の姿態を目に映していた。
 食事に誘ったが、少年は首を縦には振らず、ただ帰るとだけ言った。私は仕方なく、同じく彼を助手席に乗せ車を走らせた。そしてついに、彼と初めて会った場所に帰り着いた。
「また逢える?」
 降りようとする少年を引きとめ、私は訊いた。少年はまるで能面のような顔で、それでいてよく光る眼はこちらを見据えながら、かすかに頷いた。少年はゆっくりと助手席のドアを閉め、人ごみの中へとまぎれ、やがて後姿は見えなくなった。突風が不意に吹き荒れ、私の車を揺らしながら、そろそろ路面を埋め尽くし始めている落ち葉を舞い上がらせた。

 嫌な予感はしていた。
 そしてその予感は的中した。あれから二日後、私は週末にまた逢おうという旨のメールを少年に向けて送信した。その数秒後にメールを受信した。私はほんの少し期待を持った。ややもすれば彼は私からの連絡を心待ちにしており、私の誘いに即座に反応してくれたのかもしれない。だが、そんな期待も裏腹に、そのメールは、私が今しがた送信した宛先はすでに使われていないことを伝えるものだった。憤慨する余裕もなく、ただ私は脱力した。私は、あの美少年ともう二度と逢うことはできないのである。
 私は思い上がりをしていたのだろうか。よくよく考えてみると、不正をしたとしても、元から私に少年の美しさを所有する権利などなかったのである。思えばあの少年が最後に私を見たとき、眼の光は確かにかげっていた。私は彼にとって星の数ほどいる男のうちの一人でしかなく、そんな私に所有されるべきものであるはずがないのである。美少年の所有。ああ、そもそも私はなぜそのような馬鹿なことを望んでいたのであろうか。
 彼が向こうを振り返った時の髪のしなやかさ、私の性器を咥える口許の淫らさ、そして美貌の気高さを記憶に置く以外に、私にできることはない。あたかも美術館の厳重に警備された展示品のように、少年の美しさは鍵をかけられた崇めの対象だったのである。彼は神のいたずらで偶発的に私の前に現れた幻影であったのであろう。




※少年の所有、女性の所有など、人権を軽視した表現が含まれていますが、主人公の観念が倒錯していることを表現するために敢えて使用しています。

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テーマ:ショタ小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2012/12/13(木) 02:38:41|
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バイの某大文学部生です。少年愛の美学、ショタの文学、美少年と少年美、「艶」の定義についてなど日々考察中。

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