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ショタ小説 -少年の戸惑い-

少年の恋に戸惑う心を綴ったフィクションです。登場人物は全て仮想の人物であり、実在する人物などとは一切関係していません。

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夏の終わり



 夕暮れの九十九里浜。強い風が波を掻き立て砂嵐を起こす。次第に弱まる、しかしそれでもまだじりじりと首筋を焼く西日が、あたり一面を紅に染める。誰もいなくなった海水浴場で、最後の海の家が店じまいをした。潮が満ちる。昼間無数の人々が残した足跡が、波に消されてゆく。夏が、終わる。
「夏が終わる……」
 カイが呟いた。強い風が少年の髪を噴き上げる。もう間もなく日が沈み、静かな夜がやってくる。暑い一日の終わりは季節の終わりを予期させる。どうしてこうも夕日は哀愁に満ちているのか。この夏は、いったいなんだったのだろうか。
「あれ、カイじゃん」
 犬を連れた少年が浜辺に現れた。同級生のリクだ。カイは知っていた。彼が毎日この時間に犬の散歩をすることを。
「やあリク、」
 カイは偶然を装おうとした。どうしてもリクの目をまっすぐに見ることができない。カイはその場にかがみこみ、犬を撫でることで紛らわした。
「最後にカイに会えてよかった」
「最後って、」
 見上げると、リクは哀しそうな顔をしていた。健康的に焼けた小麦色の美少年に、そんな表情は似合わない。いやむしろ、哀愁の紅に染まった顔には、哀愁が一番似合っているのかもしれない。カイはどうにもやりきれない気持ちで立ち上がった。
「うん、いよいよ明日」
 リクの方は、まっすぐカイを見つめた。そんな……。カイの言葉は波の音に消された。親友と過ごした時はあまりにも長すぎる。お互いに信じ合ってきて、そしてこれからも信じ合って。当たり前のような存在が、今消えようとしている。
「行かないでほしい」
 波に負けないよう、カイはしっかりとした声で言った。
「大丈夫だって。俺たちはいつでも友達だから。それに、最初のうちはさびしいかもしれないけど、すぐに慣れるさ。そんなもんだろ、」
「そんなこと!」
 カイはつよくリクの肩を両手でつかんだ。リクは驚いて少しよろけた。リクは笑っていた。笑ってはいたが、先ほどの哀愁がより色濃い。段々と笑顔が崩れてゆく。カイのほうも、肩をつかんだはいいものの、それからどうしてよいか分からなかった。
 やがてリクはカイの手を振りほどくように身を離した。
「この夏、いろいろ忙しくてまだ泳いていなかった」
リクは犬のリードを適当な柵に掛け、勢いよく海の方へと砂浜を駈け出した。
「待てよ、」
 カイが後を追う。リクは走りながら服を脱ぎ捨てた。やがて一糸まとわぬ姿になり、夕暮れの海に飛び込んだ。
 カイはためらいながらその様子を見ていた。リクの裸体はみずみずしく、そして官能的だった。リクはどんどん沖の方へと泳いでゆく。このままリクがどこまでも泳ぎ去ってしまうのではないか。もう二度と触れることができないところまで行ってしまうのではないか。カイは服を脱ぎ始めた。
 懸命に波に逆らい、リクを追いかけて、追いかけた。やがてカイはリクに追いついた。腕をつかみ、体を引き寄せる。カイはためらうことなくリクの唇を吸った。リクの唇は塩辛かった。当然海水の味なのだが、果たして本当に海水の味だけだったのであろうか。


 一匹の犬が、砂浜に折り重なる二人の少年を眺めていた。夕日は最後の真っ赤なひとかけらを残し、空は濃紺を極めていた。潮が満ち、波が砂浜を洗う。やがて二人分の足跡も消えてしまう。これまでの記憶さえも。
 裸の少年たちは、砂だらけになりながらお互いの唇を吸った。抱き合った。体をこすりつけ合った。二人は知らなかった。愛というものを。相手に愛をどう注ぐかを。二人は原初的欲求に基づき、体を寄せ合った。
 九十九里浜に夜が来た。間もなく夏が終わる。二人はもう会えない。


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テーマ:ショタ小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2013/09/02(月) 21:56:36|
  2. 短編
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

初コメさせて頂きます( ´ ▽ ` )ノ
「夏の終わり」とってもよかったです!
官能的というか、切なさとエロスを感じました!(^O^)

  1. 2013/09/03(火) 01:16:12 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集]

コメントありがとうございます。
実際に九十九里浜に行き、その場で感じた哀愁を形にしてみたつもりです。
お褒めいただき幸いです。
  1. 2013/09/03(火) 15:38:16 |
  2. URL |
  3. イズコー #-
  4. [ 編集]

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